2012年4月15日(日)、YouATスタッフの小田と住田の両名は神戸で開催された「起業応援フェスティバル」に出店しました。

YouATの新事業である「字天」漢字デザインサービスがテーマでした。
コピーライターの小田が、会場におられた17名の起業家の方々にその場で「新ことば」を考案・贈呈いたしました。

以下に、当日考案した「新ことば」を簡略に紹介申し上げます。

時籟」は、フリーランスライター・エディター 田村康子さんへ。

田村さんは、現在日本列島を東から西へ、取材インタビューのお仕事で駆け回っておられます。「47都道府県のうち、41までは制覇したので、残すは6つですね」とおっしゃられました。
「私のインタビューは、よくカウンセリングを受けたような事後感がある、と言われます。相手さまの言おうとしていることを引き出し、言葉に表す手助けをするのが、私の仕事です。」田村さんは、こんなふうにご自分の仕事を表現なさいました。
住んでみたい土地は?という質問について、日本の太平洋側の暖かい土地もよいし、またイギリスのウィンダミア地方にも憧れる、と答えられた。
ウィンダミア地方は、緑がいっぱいで美しい湖があります。
田村さんが幼少時によく見た夢の中には、緑で囲まれた森の向こうに、ぽっかりと小さくて澄んだ湖がある情景が見えたと言われます。
自分の中の原イメージ、とでも言うべきでしょうか。

私は、田村さんのイメージする緑なす澄んだ湖水について、思いました。
そして、田村さんのお仕事と、重ね合わせました。

そして、「新ことば」として「時籟(じらい)」を書き下ろしました。

「籟(らい)」とは、笛の音のことです。
『荘子』斉物論篇に、こうあります。

-汝は人籟を聞くも、未だ地籟を聞かず。汝は地籟を聞くも、未だ天籟を聞かず。

ふつうの人間は、人が奏でる笛の音を聞くことはできるが、天すなわち宇宙全体が奏でる音に耳を澄ますことは、とうていできないのだ。
この宇宙はあらゆる音で満たされているが、人は目の前の笛の音しか理解することができない。
『荘子』に書かれた、日常的な人知を超越するイメージを示した表現です。

荘子は天の音楽について語りましたが、ならば時の音楽もあるはずではないか。
それを聞き分けるには、特別な注意が要るだろう。
時代がどのように進んでいて、時代を生きる人々が何を望んでいるのか。
その見えざる時代の音を、田村さんは聞き取ろうとしているのだろう。

だから、時の「籟」という意味で、「時籟」の二字を選ばせていただきました。

(つづく)

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